音楽業界で最も影響力のある幹部の一人、クライブ・デービスが upper respiratory infection(上気道感染)を発症し、ニューヨーク市内の病院へ一時入院した。広報によると、94歳のデービスは「慎重を期して」病院へ入院し、24時間以内に退院する見込み。マンハッタンで開催された Gordon Parks Foundation Awards Dinner and Auction に出席していた直後の出来事で、当時は元気な様子だった。デービスは1960年代のロック革命から現代ポップの時代に至るまで、アメリカ音楽の発展を支えてきた人物。1967年にCBS Recordsの社長となってキャリアを築き、ジャニス・ジョプリンやサンタナといったアーティストの発掘・契約に貢献。その後ボー・スプリングスティーン、エアロスミス、ビリー・ジョエルなどのキャリア形成を促し、コロンビア・レコードを業界の主導的レーベルへと確立した。CBSを1973年に退社後はArista Recordsを率い、Patti Smith、The Kinks、Grateful Dead らの育成にも関与。アレサ・フランクリンやディオンヌ・ Warwick のキャリアを支えた。特に1983年に契約した Whit­ney Houston との関係は、ポピュラーミュック史上でも最も成功したキャリアのひとつを生み出した。2000年にはJ Recordsを設立し、Alicia Keys、Jennifer Hudson、Kelly Clarkson などの新進アーティストを mentored(指導)し続けた同年、レイ・クエストの殿堂入りとは対置的に非演奏家としてロックの殿堂入りを果たした。役員室を超え、グラミーウィークの恒例イベントとして知られるデービスの年次集まりは音楽カレンダーの定番となっている。デービスは「星が満ちた催しで、むしろそれ以上に興奮する。人々がそれを楽しみにしている感情こそが私を奮起させる」と語っていた。入院は一時的なものと周囲は見ており、デービスの遺産は米国音楽の歴史に堅固に刻まれ続ける。